厭世のコラージュ
人間にとって最も善いことは生まれてこないこと。次に善いことは早く死ぬこと。
不潔と決めつけてはいない
 62回も救急搬送を拒否されたひとがギネス申請してるかどうかは知らないけれど、だれもがみんな知っている。私は相談にのるのが下手である。自殺を考えているひとから相談を受けたらば、いかなる方法がもっとも素晴らしいかを説く始末である。おすすめは焼身。火だるまになって嫌いなあいつを追い掛け回したらさぞや愉快であろう。わははザマーミロ。1〜2分しかもたないだろうが。

 普段はまったく読まない馬鹿げた「愛したい」コーナー(『毎日』)を、昨日はどういうわけか読んでしまった。相談者は19歳のおねいちゃん。回答者は石平とい云う名の作家である。

 このイシダ氏、顔と名前しか知らないので普段の言動はどうなのか、そんなことはまったく興味はないけれど、ともかく、行間を読み過ぎ、裏を読み過ぎです。もしくは文章の利己変換。女性崇拝主義者から吊るし上げられそうな回答をしているけれど、つまりはイシダ氏お前さん自身がちんぽや交尾を不潔と考えている裏返しであろう。

 掲載文がすべてであるとするならば、19歳のおねいちゃんは「未知の世界を恐れ」ているのでも、「性的経験や欲望を恐れ」ているのでもない。そして、ヤラせてもらえぬ彼氏を「お気の毒だ」などと同情する必要もない。ヤリたい盛りの19歳男が3年もおあずけをくらってなお交際をつづけていることがむしろ異常である。つまりはおあずけされるのが好きな男なのだ。

 このおねいちゃんが「恐怖」を感じているのはただ一点「次に会った時にまた迫られるのかと思う」ことなのだ。イシダ氏それを「避妊してでもできないというくらいの恐れは、どこからくるのかな」と呑気である。おねいちゃんは「万が一の妊娠も考えると、避妊してもできません」と云ってるのであって(「妊娠も」の「も」がクセモノ)交尾自体には恐れていないのではないのか。

 「普段の彼とのギャップにも戸惑」い、「次に会った時にまた迫られるのかと思うと恐怖を感じ」ながらも彼氏との交際をつづけたいというおねいちゃんがすべきはただひとつ、「素股」を修得する以外に方法はない。でなければ別れるがよし。

愛したい:今週の回答者 石田衣良さん(作家)
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