厭世のコラージュ
人間にとって最も善いことは生まれてこないこと。次に善いことは早く死ぬこと。
死刑執行民営化
 米の死刑を揺るがしかねない裁判(参照)の続報。「薬物注射による死刑執行は『残酷で異常な処罰』を禁じた米憲法に違反するかどうかを審理するため7日開かれた米連邦最高裁の口頭弁論で、判事の意見は大きく割れた」(9日『毎日』)。

 裁判の行方自体も気になるところだが、「保守派のスカリア判事は‥‥」「リベラル派とされるスティーブンズ判事は‥‥」と判事を保守派、リベラル派で明確に分けているのが面白い。

 連邦最高裁判事の任命は大統領がおこなうため、時の大統領と政治的立場の近い者が任命されるは必然。しかし、保守対リベラルで政権交代を繰り返す米ならば、在任の判事すべてが保守、すべてがリベラルで占められることはほとんどない。

 世界一の民主国家を自認する所以(ゆえん)である。そもそも死刑囚が「薬物注射による死刑執行は苦痛を伴い、米憲法が禁じた『残酷で異常な処罰』に当たる」と裁判に訴えることも、いかにも米らしい。

 閑話休題。

 超個人的な「野次馬感情」を被害者感情・遺族感情にすり換えて、理屈もヘッタクレもなく極刑を望む犯罪的無知の善良なる市民が多数世論を形成する現代の日本社会で類似の裁判があったらどうだろうか。

 もしも死刑囚が「絞首は『公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる』と謳われた憲法第36条に違反している」と訴えたら。

 結論は火を見るより。「ひと殺しが生意気いうな!」である。「のび太のくせに!」である。ここには、私憤を公憤と偽る歪んだ感情論しか存在しないけれど。

 あるいは死刑執行を民間業者に依託する方法も。さすれば「公務員による‥‥刑罰」ではなくなる。憲法の拡大解釈は政府の十八番(おはこ)。
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